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第4回
私たちの世界を良くする仕事

大久保博

株式会社バンダイナムコスタジオ
ET開発本部 サウンド&アニメーション部 部長
エグゼクティブサウンドデザイナー

1994年にナムコ(現バンダイナムエンターテインメント)に入社。ゲームサウンドクリエイターとして数多くのヒットタイトルを手掛ける。
代表作は「リッジレーサーシリーズ」「エースコンバットシリーズ」「塊魂シリーズ」など。
大学講師、テレビ番組講師、アニメ楽曲プロデュースなど幅広く活動中。

大久保さんと音楽との出会いはいつですか?

大久保:僕と音楽の出会いは父親の影響なんですけど、父が放送局に勤めていた関係で趣味が音楽を聴くことだったんです。
それで家には生まれた時から数千枚単位のレコードがあって、もう毎日のように音楽を聴かされていました。
音楽を意識し始めたのは幼稚園に入って先生がオルガンを弾いているのを見て「これは!」と思った時ですね(笑)。それで親に「あれを弾けるようになりたい」と言って、エレクトーン教室に4歳ぐらいから通い始めました。それは小学校5年生で辞めちゃうんですけど、聴く方は毎週のように家に新譜がくるので、アイドルからジャズまで。ポップスやフュージョンみたいなのがずっと好きでした。

その頃の大久保さんにとってレコードを聴くことは『遊び』の一つだったんですか?

大久保:音楽を聴くことが遊びと言って良いか分からないですけど、いい音楽に出会いたい気持ちはありましたね。だからビックリしたいと言うか、やっぱり何かあったんでしょうね。「このレコードはいいな」というのと「このレコードはいいや」というのを分けてて、「いいや」の方は倉庫送りにしていましたから(笑)。

何に対してビックリしたかったのでしょうか?

大久保:新しいものですね。自分が聴いたことがないものとか、世の中にはあったのかもしれないけど、出会ってないものってあるじゃないですか。「それは会いたいな」という思いがきっとあって、「自分が好きなものはどれだろう?」って感じですね。

大久保さんがこれ迄の人生で一番夢中になったことを教えてください。

大久保:結構年代によってバラバラで、一番と言えるものは実はないかもしれないです。小学校の時に凄く頑張ったのはブラスバンドで、鼓笛隊に居たのでスネアドラムをやっていました。そこでは色々な楽器に触れる機会を得ましたね。
夢中になったものの中には親が「やれ」と言ってやったものもあるかもしれません。やりたくなかったんですけど、少年野球を習わされていたんです。これは夢中というより無理矢理やらされていたのを耐え抜いたって経験ですね。
あとは水泳を小学校4年から習い始めて、最初は余り泳げなかったんですが、結構スパルタで泳げるようになって、そうすると成長することが楽しくなってくるんです。その業界が分かってくるというか。水泳は中学3年までやりましたけど、水泳っていいんですよ。一人で無心になれるんで。ストロークのリズムがあるじゃないですか。流しで練習する時は良く聴く音楽のテンポとフレーズを思い浮かべながら泳いでいました。水の中では頭の中でずっと一人で歌っていられますからね。

大久保さんのものづくりにおけるこだわりを教えてください。

大久保:僕はものを作った時に偶然それが出来たとしても「いいな」と思ったら必ず理由を考えるようにしています。なんでここに音符を置くことがいいことなのか? なんでここに置いたのか? と。

理由が思いつかない場合はどうするのでしょうか?

大久保:消しています。偶然ではなくて、全てを必然にしなくては「アカン!」と思っています。偶然というのはトライ&エラーなのでいっぱい試すじゃないですか、「いいアイデアだ!」って思った時にそれを証明する何かが無かったら、きっといいアイデアじゃないんですよ。説明出来るようにするっていうのが一番こだわってると言うか…。それが出来ると何が出来るかと言うと、相手に伝える時にプレゼンテーションが出来るようになるんです。

本人すら思いもしなかった偶然を必然に換えていくことで、何か説得力のようなものが生まれてくると。

大久保:まぁでも、人から言われて「あっ、そうだったかー」って気付きになるものもありますけどね。言われて気付かされたら、それを自分の理由にしちゃったりします(笑)。

自身が担当した仕事で思い入れのある作品というと何がありますか?

大久保:RIDGE RACER TYPE 4かな。若かったし、勢いがあったんですよ。僕が入社4年目ぐらいだったかな? 僕が入社した94年って初代プレイステーションが発売された年なんです。それまでの家庭用や業務用のゲームって全部その中に音を生成するデバイスがあって音楽を鳴らしていたんですけど、あそこから本格的にCD-ROMの時代になったじゃないですか。CDの盤面で音を鳴らさないといけなくなった時に何処と戦わなくてはいけないのかと言うと、一般に売っている音楽CDと戦わなくてはいけなくなったんですよ。
それで「作り方から変えないといけない」と思って、上司に嘆願書を提出して、スタジオでミックスダウンしたいとか、海外のボーカリストとの契約とか、こういう音楽を入れることが絶対に魅力になるんだ!って理由を説明したんです。それまでナムコは海外のアーティストとの契約や海外レコーディングの経験も無かったですし、作り方も含めて一歩進めたという気持ちがありました。

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(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

▲R4 -RIDGE RACER TYPE 4-(1998.12)は家庭用リッジレーサーシリーズの4作目。
従来では表現できなかった美しい光と影、存在感をもった背景等数々の新仕様を搭載した。

R4は様々なジャンルをカバーした、ひたすらノリの良い名曲ばかりでしたね。

大久保:どうして作り方を変えたかったかと言うと、それまで先輩たちが作っていたアーケード版の時から「リッジレーサー」というタイトルは新しいことをやっていたんです。
当時、僕は大学生でしたけど、テクスチャーマッピングとか、グーローシェーディングとか、とにかく映像が綺麗になったというのも新しかったし、音楽もこれまでのゲーム音楽ではなくクラブミュージックって言うか、ダンスミュージックをガッツリ入れてきたのもあって、どんどん時代を先取りしてたんです。それは「凄いな」って思っていたから、この流れは変えちゃいけないし、家庭用になった時に僕が引き継ぐのであれば「ちゃんと前に進めなきゃいけない」という思いで取り組んでいました。

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(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

▲リッジレーサー(1993.10)はポリゴンゲームの新時代を予感させたレースゲーム。
PS版は本体と同時発売のローンチタイトルであり、本体の普及にも貢献した。

大久保さんが考えるサウンドクリエイターの理想的役割とは何ですか?

大久保:やっぱりゲームの中身を考えて作ることじゃないですか。あと僕らがやっているのは、サウンドクリエイターではなくて、ゲームサウンドクリエイターなんです。サウンドクリエイターは別にゲームに特化して考えなくてもいいんですけど、ゲームサウンドクリエイターは音楽・効果音・台詞とゲーム展開の全てを知った上で「音」による演出を考える仕事なんです。

サウンドクリエイターとゲームサウンドクリエイターの違いは他にもありますか?

大久保:音素材作りの時に、最終的にゲームの音をどう鳴らすのかを想定してサウンドデザインをするという点ですかね。ゲームはインタラクティブであり、それはコンピュータプログラムによって制御されています。映画やドラマのように決まった流れでストーリーは展開していきません。プレイヤー毎に進め方が違ってきます。場合によってはストーリーの展開の順番が違ったりすることもあります。そんな場合でもリアルタイムに違和感の無く破綻の無い音響演出をしなければなりません。そのために、いろいろな場合を想定した音響制御の仕組みを考えた上で、その制御方法にあった音素材をデザインしていかなければならないんです。単に良い音をリアルに作ったり、すばらしい音楽を作れれば良いわけではなく、制御された上でどう鳴らすのか、鳴るのかを考えながら、更に良い音を作るということかと思います。
例えば、プレイヤーが何か対象物に近づいたら音楽を派手にしたいという演出を考えますよね? プレイヤーは突然対象物に近づくわけではないですから、徐々に音楽を盛り上げないといけない…なんていうときに、どういった制御により効果的にその演出を実現するかの方法を考えた上で、必要な音素材や音楽素材を作っていくという感じです。

大久保さんがもし他業種と仕事をするならどんな仕事をしてみたいですか?

大久保:最初の音楽の話とも繋がりますが、ボクはやっぱり自分の知らない新しいモノや面白いモノに出会ってビックリしたいんですね。だから、自分があまり関わることの無いような業界や業種の人とたくさん出会って、いろいろな事情を知った上で、何かボクにできることがあればお手伝いしたいなぁと思っています。世の中いろんな製品やサービスがあって、そ 729 310 740れをそれぞれ考えた人がいるっていうのを想像するだけでも面白いですからね。

最後に、自身が持っているノウハウや知見を使って世界にどんな影響を与えてみたいですか?

大久保:影響って言うか世界を良くしたいと思っています。世の中を見ていても「惜しい!」って思うこと、結構あったりするじゃないですか(笑)。あと一歩これを変えてれば、きっともっといいのになぁって、思うことがありますよね。
でも「何かやれるといいなぁ」とは思いますけど、それは何ていう職業で、何をすればいいのか分かりませんからね(笑)。僕はサウンドとして演出を考える人間なので、スペシャルフラッグの人たちと一緒にやってると「そこに食い込めるかな?」って思ってます(笑)。そういう何かに気付いた時に手を差し伸べられたらいいなって思いはありますね。

※記載されている会社名・製品名は、各社の商標または登録商標です。

インタビュアー:ぜくう

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