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第3回
ゲームプランナーの発想が斬新な商品を生み出す

遠山茂樹

株式会社バンダイナムコスタジオ AM開発本部 コンテンツデザイン3部 AM企画7課
エグゼクティブプランナー

1981年にナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)に入社。迷路脱出ロボット「マッピー」をはじめ、空前の大ヒットとなったビデオゲーム「ゼビウス」など数多くの製品開発に参加。国際花と緑の博覧会に出展したアトラクションゲーム「ギャラクシアン3」の開発や、テーマパーク「ナムコ・ワンダーエッグ」のコンセプトデザインも担当し、2002年には自身が発明した「遠山式立体表示法」で特許を取得するなど現在も多方面にわたり活躍中。

「ゼビウス」や「ギャラクシアン3」を作るなど、長らくゲーム開発の現場でご活躍されている遠山さんですが、以前に学校教科書の企画のお仕事をされたこともあるそうですね。

遠山:はい。学校図書さんから発行された、小学校3~6年生の理科などの教科書の制作をお手伝いさせていただきました。

 

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(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

▲ギャラ3キャプション:「ギャラクシアン3」:「花博」および「ナムコ・ワンダーエッグ」の看板アトラクションのひとつであったシューティングゲームである。

すると、それまでの教科書は何かクオリティ面で問題を抱えていたということなのでしょうか?

遠山:いえ、そうではなくて元々きちんと出来上がった教科書だったんですよ。でも、他の教科書と比べてもデザインがほとんど変わらないし、イラストや写真も地味で当たり障りのないものばかり使っていたのが気になったんです。そこで、スタッフのみんなで「子どもって秘密基地が好きだよね?」などといろいろ話をしているうちに、新しいものを作るためのヒントが出てきました。

教科書に秘密基地ですか? 一見すると全然関係のない言葉のようにも思えますが……。

遠山:たとえば、秘密基地の断面図とか子どもの頃によく描きましたよね。指令室のボタンを押すと、ライターが動いてミサイルの導火線に火をつけて、基地のてっぺんからミサイルを発射するみたいな仕組みが、見ていても楽しかったですよね。そんな要素を教科書の目次ページに導入したかったんです。

ナルホド、それはとても面白いアプローチですね!

遠山:それから、例えば3年生から4年生に進級した子は3年生用の教科書はもう全然読まなくなりますよね? そこで、目次のところで異なる学年の教科書同士に連続性を持たせたデザインにすることを思いつきました。実は3年生から6年生までの教科書を全部縦に並べると、一本の大きな木が出来上がる仕組みになっているんですよ。小学校の理科は3~6年生までなので、全部で4冊分あれば絵が完成しますから、6年生になった子は教科書を4冊全部そろえて並べるのが楽しみになるよね、もしそんなのができたら素敵だよね、という発想ですね。

子どもたちにとっては、ゲーム中にコレクションアイテムをゲットしたときの喜びに通じるものがありそうですね。

遠山:小学生の理科は「エネルギー」「地球」「生命」「ものの性質」の4つのテーマに大きく分かれていて、毎年これらのテーマに沿った学習をしていくようになっているのですが、いざ進級すると前の学年で習った同じテーマの内容を忘れてしまうことがよくあるらしいんです。でも、このツリーハウスになった目次を見れば次に学ぶテーマが以前に習った内容とどうつながっているのかもすぐにわかりますよね。さらに、関連するテーマ同士をヒモで結んだ絵も添えて、そのつながりがよりわかりやすくなるようにもしてあります。こんなデザインにしておけば、「今度習うところは、以前に覚えたこととどうつながっているのかな?」などと考えて読み返したり、新しい教科書をもらったら自分で広げて重ねてみたくなりますよね?

古い教科書でも後で読み返すのが楽しくなり、なおかつ復習にも活用してもらえればもう言うことナシですね!

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遠山:こういうアイデアが思いつくのは、もし実現したら教科書の価値もきっと変わるだろうな、という発想をしていたからなんですね。あと、余談ですが木の模型も実は私が全部考えて作ったんですよ。自分自身がモデルの人形もここにいますし(笑)。ほかのスタッフにも粘土細工とかを手伝ってもらったりして、完成するまでかなりタイヘンでしたけど、今思い返してみると作る時間よりもアイデアを考える時間のほうが長かったような気がします。

ゲームに限らず、物作りなら何でも大好きなんですね。

遠山:はい。もう子どもの頃からずっとそうです。

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▲写真のバッグは、なんと遠山氏自らが手作りしたもの。
「お店に行ったら、ちょうどいいサイズのものがなかったので自分で作りました!」(ご本人談)

学校の教科書は文部科学省の検定に合格しないと学校では使用されないですから、ゲーム開発で養った経験を元に斬新なデザインの本ができたのは本当に画期的でしたね。

遠山:そうなんです。この教科書が出来上がったのはある意味センセーショナルなことでした。

実際に新しい教科書を使用した生徒や先生、保護者のみなさんの反応はいかがでしたか?

遠山:お陰様でかなりの反響がありました。テレビ番組で紹介された後に、学校図書さんの教科書を採択していない地域にお住まいの親御さんからも「うちでもぜひ買いたいのですが。」といったお問い合わせをかなりいただきました。たとえば、算数だけでも全国で2500校、3年間で合計480万部を販売できたのですが、教科書の世界ではこれだけの部数が出たのはかなり異例のことだったみたいですよ。

ほかにも、お菓子のコンサルタンティングをなさったことがあるとお聞きしましたが?

遠山:クラシエさんの「ねるねるねるね」という商品です。

「ねるねるねるね」は、私も子どもの頃から知っています 。確か、粉に水を入れて混ぜると色が変わって膨らむお菓子ですよね。

遠山:ええ、まさにそれです。これは知育菓子※という位置づけになっていて、私が久しぶりに商品を見たとき、パッケージには「ねるね」というかわいらしいキャラクターが掲載されていました。でも、ちょっと違和感みたいなものを感じたんですよ。「ねるねるねるね」といったら魔女のCMの印象が強いじゃないですか? だから、その魔女の世界観もねるねるねるねブランドに反映させないと、せっかくの資産がもったいないな、と考えました。

あの魔女が出てくるテレビCMは私も今でもよく覚えていますし、おそらくたいていの人が知っていると思います。

遠山:そうなんです。ですから、まず第一にクラシエさんへは魔女のキャラクターも活用するプランをご提案しました。他にも、「テーレッテレー」というあの有名な音楽の活用もご提案したんです。魔女のCMで商品にドキドキワクワクした子供たちの期待することと、商品自体の世界観を一致させたんですね。ほかにも、色々とご提案させていただいたのですが、詳細までお話できないのが残念です(笑)

コンサルティングの実施後、お菓子の売上に変化はありましたか?

遠山:はい。こちらもお陰様で、クラシエさんから当初の目標よりも大幅に売上を伸ばすことができたという嬉しいお知らせをいただくことができました。

冒頭にお話いただいた教科書も含め、長年のゲームや製品・サービス開発のお仕事で得た発想がまったく異なるジャンルの商品にも生かせるのは本当に興味深いことですね。

遠山:我々は、まず最初に物の本質を分析するところから始めるんですよ。この商品は何を求められているのか、何が必要なのかをしっかり把握してから、クライアントのみなさんにいろいろなご提案をするようにしています。

現在はエグゼクティブプランナーというお立場ですが、何か今後の仕事の目標みたいなものはありますか?

遠山:今までにまったく見たことのないもの、したことのない物を作りたいです。もし生活の中に入ってきたら、みんなが「エエッ!」と驚くような物ができたらいいですね。今の世の中は、何か突然新しい物が出てくることがどんどん減っているなと思っているので、自分でそれができたらいいなと思いますし、そういう未来を自分自身でも見てみたいですね。

お仕事を始めて30年以上が経過した今もなお、新しい発想を追求し続けるそのお姿、とてもカッコイイです!

遠山:ほかの企業の方とお話をしていると、長年の慣習で「ここはこうなんだ。」という古い考え方からなかなか離れられないケースがよくあるんですよ。そんな状況を見直したい、何か新しく変えたいなとか、ちょっとアイデアを端折って一足飛びに何かしてみたいなと思った方がもしいらっしゃいましたら、ぜひお声がけをいただければと思います。

 ゲームプランナーは、普段から架空の設定とかストーリーとか、実際はおよそあり得ないものをよく作ったりして、常識的な物事に縛られない発想をするのが大得意なんです。そんな我々が役に立つ場所は、まだほかにもたくさんあるのではないのかと思っています。「こんなことは常識外だけど、もしこういうのがあったら面白いよね!」というものをまず先に作ってしまって、それを実用化する方法は後から考えて実施するという提案の仕方は、我々プランナーにとってはまさにピッタリなんですよ。

※「知育菓子」はクラシエフーズ株式会社の登録商標です

インタビュアープロフィール

鴫原 盛之Morihiro Shigihara

1993年よりゲーム雑誌および攻略本などでライター活動を開始。各種雑誌やWebサイトでの執筆をはじめ、
ゲーム開発の協力も行う。著書(共著)「ビジネスを変える『ゲームニクス』」(日経BP)など。

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